理事長挨拶
理事長挨拶
理事長 山下 静也 よりご挨拶
当センターは大阪府がん診療拠点病院、地域医療支援病院、災害拠点病院としての機能に加えて、泉州救命救急センター、泉州広域母子医療センター、特定感染症指定医療機関としての極めて特徴的な医療機能を有した高度急性期病院で、救命救急病床30床、感染症病床10床を含め、総病床数388床を有しています。母子医療に関しては、当センターは大阪大学によるご指導のもと、市立貝塚病院と泉州広域母子医療センターを共同運営し、産科医療・新生児医療(NICU)を私共が分担しており、TVドラマ「コウノドリ」のモデルとなった医師も在籍しています。一方、関西国際空港の対岸という土地柄、旅行者の医療的対応に当たるとともに、大阪在住の多数の外国人の診療も行っています。当センターの国際診療科は全国的にも有名で、外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の3回目の認定更新を2023年に行いました。
2018年4月からDPC対象病院の中でⅡ群、DPC特定病院群(大学病院本院と同等の高度良質な医療を幅広い疾患に対して提供できる病院)に指定され、大阪府内でも極めて限られた大病院の仲間入りをしました。2019年3月には日本医療機能評価機構から5回目の病院機能評価の認定、2020年4月にはNPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)による臨床研修病院の認定を受けました。また、2021年には地方独立行政法人りんくう総合医療センターが設立10周年を迎え、2023年12月には日本医療機能評価機構の6回目の病院機能評価を受審しました。
当センターでは泉州南部の病病連携・病診連携を迅速にする診療情報ネットワークシステム「なすびんネット」を導入し、地域医療連携を積極的に進めてきました。泉佐野泉南医師会との病診連携を活性化させるため、2017年からりんくうメディカルネットワークを立ち上げ、地域の先生方との積極的な交流・情報交換を行っています。『泉州南部卒後臨床シミュレーションセンター(サザンウィズ)』では、数多くのシミュレーション機器を用いた臨床技能の修練を行う教育プログラムを実践し、初期研修医の人気も急上昇して倍率も10倍になり、初期研修医枠も本年4月から1学年6人に増え、これに加えて大阪大学や大阪公立大学からのたすきがけ研修医も増えてきました。若い研修医には国内のみならず国際学会で発表し、英文論文も発表できるように指導体制を整えており、国内外の学会発表や英文・和文論文の量及び質は他病院にも誇れるものです。
南泉州地域では健診受診率が低く、癌や循環器疾患による死亡率が高いことが知られていますが、予防医学や臨床治験を推進し、研究マインドをもってりんくう及び南泉州地域の特色を活かした事業を推進するため、2023年4月から「先進医療開発センター」を開設しました。開設以来、地域の健診受診率を向上させ、生活習慣病や家族性高コレステロール血症などの高頻度な遺伝性疾患の早期発見・早期治療を目指して、地域の医療者の教育、特定健診の指導等も行って、病診連携の実績を挙げてきました。最近では激増する心不全患者の診療のための在宅医療の新たなネットワーク作りも行っています。また、国内及び国際臨床治験にも数多く参加し、国際的にも最先端を走っています。
当センターでは消化器内科、眼科等の一部診療科医師が不足していましたが、消化器内科医4名体制のところ、本年4月からは7名体制になる予定で、人材が充実してきました。特に、循環器内科では大阪大学のご高配によりスタッフが充実し、冠動脈疾患・末梢動脈疾患に対するカテーテル治療、不整脈のカテーテルアブレーション、心不全、脂質異常症患者への専門的対応など、全ての循環器疾患に迅速に対応できる体制が整いました。今後も不足する人員を大学とも連携して補充していく予定です。
一方、当センターは重症急性呼吸器症候群(SARS)、新型インフルエンザ、エボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)等の新興感染症のアウトブレークに備えて、我が国に4つしかない特定感染症指定医療機関であり、関西の砦という重責も担っています。2019年12月に武漢から全世界に広まったCOVID-19感染症も既に4年が経過し、2023年5月からは5類に移行しました。COVID-19感染者の診療に関しても、初期の段階から大阪府や近隣地域から重症・中等症の患者、妊娠中の患者を多数受け入れ、他病院では受入れ困難な透析患者や関西国際空港検疫所経由の外国人患者の受入れも行ってきました。その結果、泉州地域住民の命を守るための最後の砦として頑張っていることが多くの報道でも評価され、当センターは全国的にも有名な病院の1つとなっています。
ハード面では最新のMRIを導入するとともに、院内施設の改修も順次行ってきました。救急外来改修で診療ベッドを増床し、COVID-19疑い患者も含む種々の新興感染症患者の対応のため陰圧室を2室にまで増床し、より安全にまたより機能的に対応できるようにしました。更に、内視鏡センターをリニューアルし、検査室を3室に拡大しました。また、リカバリーチェア・ベッドの台数を6つまで増やして、これまでより多くの鎮静下での検査の実施も可能となっています。外来部門の多目的トイレを含む、トイレ改修工事やWi-Fi接続サービスを開始するなど、患者様向けのアメニティ環境の改善もはかり、少しでも快適に診療を受けていただけるように努めてきました。その結果、アメリカを代表するニュース週刊誌 Newsweekが毎年発表する世界のベスト病院2023「World’s Best Hospitals 2023」 JAPAN版にて、当センターが選出されました。日本全国で大学病院を中心に200施設、大阪府内で14施設(大学病院4施設を含む)の1つとしてランクインしました。
更には、高度医療の充実に向け、精緻な手術が可能な「ロボット手術システム:ダヴィンチ」を昨年12月に導入し、今後も前立腺がんや大腸がん(直腸・結腸)、胃がん等の領域で運用する予定です。本年4月には時間外労働の上限規制などが適用される「医師の働き方改革」が法律で義務化され、医師の超過勤務時間を減らす対策も打つ必要があり、新年を迎えて更なる飛躍のために施設改修を行っています。当センターに手術室は6室ありますが、満杯で新たな手術患者を受け入れづらい環境にあり、緊急手術症例も手術室が使用中のために他病院へ搬送せざるを得ないこともあります。そのため、手術室を1室増室する改築を現在行っており、これに合わせてハイブリッド手術室を令和6年度初頭から導入予定です。
泉佐野市をはじめとする行政機関の方々、泉佐野泉南医師会、歯科医師会、薬剤師会の医療関係者などからのお力添えを頂きながら、先進的医療を導入し、医師を含む医療スタッフを更に充実させ、今後も泉州地域住民の皆様の生命を守る最後の砦の中核病院として、最新の医療を提供できるように職員一丸となって頑張っていきますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
地方独立行政法人 りんくう総合医療センター
理事長 山下 静也
理事長履歴 | |
---|---|
1979年3月 | 大阪大学医学部卒業 |
1979年7月 | 大阪大学医学部附属病院非常勤医員 |
1980年7月 | 市立豊中病院内科医員 |
1983年6月 | 大阪大学附属病院第二内科非常勤医員 |
1988年5月 | 米国シンシナティ大学臨床病理学教室 留学 |
1992年7月 | 大阪大学医学部助手 |
2000年2月 | 同 医学部講師 |
2000年12月 | 同 大学院医学系研究科助教授 |
2005年10月 | 同 医学部附属病院・病院教授(循環器内科) |
2013年1月 | 同 大学院医学系研究科総合地域医療学寄附講座教授 |
2015年8月 |
地方独立行政法人りんくう総合医療センター副理事長兼病院長 |
2020年7月 |
地方独立行政法人りんくう総合医療センター理事長 |
専門・資格等 | |
---|---|
専 門 | 脂質異常症(高脂血症)、メタボリックシンドローム、冠動脈疾患、動脈硬化症 |
資 格 | 日本内科学会認定内科医・指導医 日本循環器学会循環器専門医 日本動脈硬化学会動脈硬化専門医・指導医 日本医師会認定産業医 |
学会等 | Member-at-Large (Asian-Pacific), International Atherosclerosis Society (IAS) Executive Committee Member, Asian-Pacific Society of Atherosclerosis and Vascular Diseases (APSAVD) Fellow of American Heart Association (FAHA) 日本心臓病学会特別正会員(Fellow of the Japanese College of Cardiology:FJCC) 日本循環器学会認定FJCS(Fellow of Japanese Circulation Society)会員 日本動脈硬化学会前理事長、名誉会員 日本臨床栄養学会理事 国際心臓研究学会(ISHR)日本部会評議員 日本循環器学会近畿地方会評議員 日本肥満学会評議員 日本心臓病学会評議員 日本冠疾患学会評議員 日本臨床分子医学会評議員 日本未病システム学会評議員 |