病院長挨拶
病院長挨拶
病院長 松岡 哲也 よりご挨拶
平成10年に大阪大学特殊救急部(現、高度救命救急センター)から当時の大阪府立泉州救命救急センターに赴任して、すでに四半世紀が経ちました。元来は救命医として、重症救急一筋、特に重症外傷患者の診療に従事してきましたが、この四半世紀の間に、泉州救命救急センター所長、りんくう総合医療センター副病院長兼救急診療部長、泉州南部卒後臨床シミュレーションセンター(サザンウイズ)長、患者サポートセンター長等を歴任、兼務し、「救急医療の最後の砦」としての救命センターの重要性に加えて、救急医療は地域医療の根幹であり、地域の医療機関との病々連携、病診連携の重要性を痛感してきました。
そしてこれまでに、泉州地域のメディカルコントロール協議会会長および救急懇話会会長として脆弱な泉州地域における救急医療体制の強化を目的にした病々連携による「面で受ける救急医療体制」の構築(平成21年)、りんくう総合医療センターおよび泉州救命救急センター、それぞれの更なる機能強化を目指して「高度専門医療と重症救急医療の統合」をスローガンにした泉州救命のりんくう総合への移管統合(平成25年)、泉州南部地域の医療を支える医療従事者を育成するため皆が集い共に学べる場としてのサザンウイズ(泉州南部卒後臨床シミュレーションセンター)の開設(平成26年)、すべての患者さんに入院前から退院後までの切れ目のない支援を届ける「患者サポートセンター」の設立(平成30年)、その他、地域医療支援病院として病々連携・病診連携の強化を目的とした病々連携協議会の立ち上げ(平成28年)、そして2020年から続く新型コロナウィルスのパンデミックに対する診療体制の構築など、病院改革、地域医療改革を、関連する多くの方々と連携して進めさせて頂きました。
りんくう総合医療センターは、泉州南部唯一の基幹病院であり、全国で4か所しかない特定感染症指定医療機関です。さらに、泉州救命救急センターや泉州広域母子医療センター、災害拠点病院、大阪府がん拠点病院などの、広域で提供すべき政策医療を担う高度急性期病院でもあります。これらの実績が評価されて、2018年4月にはDPC特定病院群(現在、大阪府下19病院)に指定され、2022年度の診療報酬改定では急性期充実体制加算(大阪府下18病院)の算定が認められました。
加えて、関西国際空港の対岸という立地上、大阪府外国人患者受け入れ拠点医療機関に指定され、外国人患者受け入れ医療機関認証制度(JMIP)の施設認定を3度更新しています。また、りんくうウェルネスケア研究センター(RICWA)では、健診・人間ドック部門を充実させ、大阪府下でも特に低い泉州地域の健診受診率の増進を図り、病気の早期発見、早期治療に結びつけるとともに、当地域の未病対策にも力を入れてきました。当センターでは、2023年4月に、臨床研究の支援、予防医学の強化、研究マインドをもって多彩な事業を推進するために、「倫理委員会(臨床研究)」「治験事務局」と「RICWA」の3部署を統合して、「先進医療開発センター」を開設しました。
2020年からのコロナ禍の3年間にあっては、通常診療とコロナ診療を如何に両立させるかに腐心しましたが、皆様方の協力もあって何とか乗り越えることができました。2023年は、コロナ禍という長いトンネルを抜けて、アフターコロナに向けての第一歩を踏み出す年となりました。りんくう総合医療センターでは、泉州南部地域で唯一の高度急性期病院としての診療機能の充実を目指し、新たな医療技術の導入を行いました。一部の大学病院や特定機能病院でしか実施できない、難治性の血液がんに対して有効性が認められているCAR-T療法という細胞免疫療法の実施施設としての認可を取得しました。また、遅ればせながら昨年12月には、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ(da Vinci)」を導入し、これまで他院へ紹介していた前立腺癌など、ダヴィンチ手術の有効性が確立した疾患の患者さんの治療を当院で完結することが可能になりました。加えて、手術室を一室増室し、ここにはハイブリット手術装置を設置して、2024年6月には大動脈弁疾患や胸腹部大動脈疾患に対して、高齢者などのハイリスクの方でも施行可能な経カテーテル的大動脈弁置換術や大動脈ステントグラフト内挿術が安全に施行可能な態勢が確保されます。このように当センターは一層、地域の方々に高度先進医療を提供できる医療機関を目指します。
また今後は、地域医療支援病院として、急性期医療後の後方連携の充実や在宅医療の後方支援の強化なども行い、2025年問題に向けて地域包括ケアシステムの構築においても重要な役割を担う覚悟です。
安定を求めて立ち止まった組織は衰退あるのみで、改革を続けて初めて現状維持が可能です。そして更なる進化を遂げるためには何を為すべきか、それを皆さんと考えていきたいと思います。
今後も、患者さん、当地域の医療機関の方々、そして我々りんくう総合医療センターの職員も、皆が納得できる医療を届けられるよう精励していく所存ですので、ご支援のほど、宜しくお願い致します。
2024年(令和6年)1月
地方独立行政法人 りんくう総合医療センター
病院長 松岡 哲也
病院長履歴 | |
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1985年 | 大阪大学医学部卒業 |
1985-1986年 | 大阪大学医学部附属病院特殊救急部 |
1986-1987年 | 西宮市立中央病院 外科 |
1987-1989年 | 岩手医科大学県高次救急センター助手 |
1989-1992年 | 大阪大学医学部救急医学教室 |
1992-1995年 | カリフォルニア州立大学デーヴィス校外科研究員 |
1995-1996年 | 大阪大学医学部救急医学教室 |
1996-1998年 | 大阪大学医学部文部教官(助手) |
1998-2000年 | 大阪府立泉州救命救急センター医長 |
2000-2005年 | 大阪府立泉州救命救急センター副所長 |
2005-2015年 |
大阪府立泉州救命救急センター所長 |
2011年4月~ |
地方独立行政法人りんくう総合医療センター理事・副病院長を兼務 |
2013年4月~ |
大阪府立泉州救命救急センターの移管統合に伴い、りんくう総合医療センターの一部門としての大阪府泉州救命救急センターとなる |
2015年4月~ |
泉州救命救急センター所長を辞し、救急診療部長を兼務 |
2020年7月 |
地方独立行政法人りんくう総合医療センター病院長 |
専門・資格等 | |
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専 門 | 救急医学、外傷外科学、メディカルコントロール |
資 格 | 医学博士 日本救急医学会専門医、指導医・日本外傷学会外傷専門医 Acute Medicine & Surgery Associate Editor 大阪府泉州地域メディカルコントロール協議会会長 大阪府救急医療対策審議会委員・実施基準策定部会委員 オリオンデータ第3者提供に関する検討部会長 オリオン収集データ利活用WG長 救急業務高度化推進に関する部会委員・検証体制検討委員会委員長 大阪府救急医療機関連絡協議会理事・副会長 大阪府泉州地域保健医療協議会委員・泉州地域医療懇話会委員 泉州地域救急医療懇話会会長 泉州地域病床機能懇話会委員・泉州地域在宅医療懇話会委員 関西国際空港SCU運営協議会会長・関西国際空港緊急計画連絡協議会委員 大阪DMATインストラクター SSTT運営協議会代表理事・SSTT Surgical インストラクター |
学会等 | 日本救急医学会功労会員 日本臨床救急医学会評議員 日本外傷学会名誉会員 日本災害医学会、日本熱傷学会 近畿救急医学研究会(日本救急医学会近畿地方会)常任幹事 |
受 賞 | 救急功労者府知事表彰(2018年) 救急功労者総務大臣表彰(2019年) |