地方独立行政法人りんくう総合医療センター

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腎臓内科

基本情報

診療内容と特色

腎臓の病気は大きく分けてふたつあります。急激に腎臓のはたらきが低下する急性腎障害(AKI)と何年もかけてゆっくり腎臓のはたらき(腎機能)が低下する慢性腎臓病(CKD)に分類されます。AKIの場合一時的に腎機能が低下する病態で適切な治療を行えば通常は腎臓の働きは回復することも期待できます。一方、 CKDの場合でも早期に発見して適切な治療を行えば, 進行を止めることもかなりの場合にできます。しかしながら、 すでに進行したCKDであれば効果的な治療法はなく、 最終的には腎代替療法(血液透析, 腹膜透析, 腎移植)が必要な末期腎不全に至ります。

当院の腎臓内科では 1) 腎臓病の早期発見, 早期治療、 2) 保存期腎不全の治療(可能な限り腎代替療法までの期間を遅らせること)、 3)合併症のない透析導入、 4) 透析患者さんの生活の質の向上と合併症の予防、 治療を4つの柱として近隣の医療機関と連携をとりながら患者さんの診療にあたっております。

 

1)腎臓病の早期発見と治療

CKDは初期には症状がないことが多い。

尿検査すれば検尿異常(蛋白尿や血尿)が診断できますが、 症状がないことが多く、全く腎臓病であることに気付くことなく数年たって、偶然病院でCKDと診断されることもあります。またなんとなく血圧が上昇し高血圧になっている原因が腎臓病のことも少なくありません。しかも、こうした患者さんでは検尿異常がないこともあります。残念ながら現在でも一旦進行してしまった腎臓病は進行してしまうと、治療により腎機能を回復させることは困難です。 まだ腎機能が低下していない早期の段階では、 適切な治療を行えば完治できる場合も少なくありません。

ではどうすればよいのでしょう。

日本透析医学会の2019年末の集計によれば透析導入に至る原因で最も多いのは糖尿病(41.6%)で、次いで腎硬化症(高血圧が原因)(16.4%)、慢性糸球体腎炎(腎臓の糸球体という部分が障害される病気です。)(14.9%)、この3つの病気で透析導入の原疾患の約3/4を占めます。 これらはいずれも健康診断で早期発見が可能な病気です。健康診断にて早期発見・早期治療を行えば、 CKDの進行を防止したりすることができ、 透析導入症例の減少につながります。したがって、少なくとも年に1回は健康診断を受け、腎臓の病気が隠れていないか確認することが大切です。

2)保存期腎不全の治療

腎臓病を治すことができる時期を過ぎてしまい、腎臓の機能が低下しているが、まだ透析を必要とするほど腎機能は低下していない状態です。ここまで病気が進行するともとの病気の勢いが止まったとしても、腎機能悪化は止まりません。

どうしてでしょうか。このように考えると理解しやすいと思います。

100人で仕事をしている会社があったとしましょう。ある事情で従業員が50人やめてしまいました。 それでも100人分の仕事をしなければなりません。すると一人が二人分の仕事をしなければならず、仕事がしんどくなります。 それでまた20人やめる。するとますます仕事がしんどくなりどんどん従業員がやめていき、最後には誰もいなくなって会社は仕事ができなくなる。 これと同様な理由で腎臓が悪化して行くのです。

腎臓の場合賃金を上げたりして従業員を確保することもできませんので、仕事を減らすことで腎臓の負担を軽くして、従業員の離職を防ぐ治療を行います。 もっとも仕事を50人分にまで減らすことはできないので、腎臓機能の低下を完全に防ぐことはできませんが、悪化を遅らせることはできます。

仕事を減らすには以下の4つの方法があります。

①血圧を下げる(特に仕事を減らすことのできる薬があります)

②塩分制限

③蛋白制限

④肥満の解消(特に仕事を減らすことのできる薬があります)

私たちはこれらの方法を患者さま方の状況に合わせて無理のない形で進めて行くことを心掛けております。

3)合併症のない透析導入

腎代替療法(血液透析, 腹膜透析, 腎移植)が必要な患者さんには患者さん個々の状態や血液データを参考にして、 適切な時期に合併症のないスムーズな血液透析(腹膜透析)を導入できるよう治療を行っています。腎移植に関しては当院で実施しておらず、 希望の患者さんには腎移植施行施設に紹介しています。

4)透析患者さんの生活の質の向上と合併症の予防, 治療

透析患者さんはいろいろな制約を受けて日常を過ごしており、生活の質を向上させることは非常に重要な問題です。また、 透析患者さんはさまざまな合併症を生じるリスクが高く、そういった合併症の予防や治療するためにも、近隣の透析施設の医師やスタッフと密に連携をとり、手術や処置が必要な場合には当院の他科の先生と連携し治療に当たります。

生活の質の向上には十分な透析を行うことが最低限必要で、このためには血液透析の場合にはシャントが正しく機能していることが必須となります。シャントの狭窄や閉塞に対して、近年は経皮的シャント拡張術(PTA)が広く行われるようになってきました。PTAにてシャントの機能が改善しなければ、手術(シャントの再建術やあらたにシャントを設置する)が必要となります。私たちは腎臓内科医ですが、PTAや手術(自己血管内シャントだけでなく、人工血管移植も)を得意としています。シャントが正しく機能していない場合、ご紹介頂ければ直ちに対処させて頂きます。

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