地方独立行政法人りんくう総合医療センター

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リハビリテーションセンター

作業療法部門

1. 作業療法部門の概要

当院では、多岐にわたる診療科に対応して急性期の作業療法の特色を活かすため、作業療法部門を3つのチーム(脳疾患、整形外科・外傷、集中治療)で構成しています(図1)。急性期における作業療法の役割は、セルフケアの向上を中心に働きかけ、続く疾患特有の身体機能障害と高次脳機能障害、さらにはせん妄症状の予防や改善に取り組んでいます。

2. 作業療法部門の実績

2023年度作業療法部門の実績

  • 実施延べ人数27,917名
  • 実施単位数43,411単位
  • 患者一人当たりの実施単位数1.56単位
  • 1日のOT一人あたりの平均取得単位数18.3±0.5単位
  • 算定区分別の単位数の割合
  • 依頼科別リハビリテーション依頼数の割合(%) 

3. 作業療法部門の各チームの取り組み

脳外科チーム

脳卒中や頭部外傷患者様に対する上肢機能練習や高次脳機能障害、セルフケアの充実化に取り組んでおり、当院ではパーキンソン病への脳深部刺激療法(Deep brain stimulation: DBS)や痙縮に対するバクロフェン髄注療法の術後に対しても作業療法を行っています。

(1)運動・感覚機能障害についての作業療法の充実化
  ① 機能的電気刺激(FES)など物理療法を併用した運動療法
  ② ニューロサイエンスに基づく運動療法

(2)セルフケアに対する作業療法の充実化
  ① 実際のADL場面(食事、更衣、整容、排泄、清拭など)での作業療法介入
  ② 看護師に個々の患者に対する具体的な介助方法の提案

(3)ポジショニングを含めた環境調整の充実化
  ① 勉強会の企画および実施
  ② 適切な自助具の選定、環境設定
  ③ 病棟での写真の掲示

(4)高次脳機能障害についての作業療法の充実化
  ① 高次脳機能障害の評価スクリーニングのセラピスト間での統一
  ② データベースの作成
  ③ 急性期に生じる高次脳機能障害の発生率および改善率とその損傷部位の検討

外傷・整形外科チーム

人工関節置換術後の日常生活動作練習や指導を行っております。また、事故や転倒などの外傷患者に対する日常生活動作練習や上肢機能障害に対する作業療法を展開しており、患者にオリジナルのスプリント作成も行っています。

(1)人工関節術後の作業療法

(2)脊椎術後および脊髄損傷後の作業療法

(3)上肢外傷に対する作業療法

集中治療チーム

集中治療室(ICU)や周術期の術後に発症しやすい「せん妄」に対して、離床・認知課題・ベッド周辺の環境調整など行っております。入院患者の中には認知症を有する高齢者も多く、医師・看護師・MSW等の他職種で入院生活を支援する取り組みを行っています。

(1)ICUでの作業療法

(2)認知症に対する作業療法

4. 教育体制

作業療法部門では、新人1年目は作業療法士として、そして社会人としての自己実現に向けて「チューター制度」を採用し、個別の悩み相談や基本知識・技術の習得を目指しています。当院の作業療法士は10年目以上が4名在職し、多角的側面で指導や助言を行っております。

新人教育の目標

目標
1年目 急性期作業療法で必要な知識や技術を網羅的に作成した、当院独自の新人研修マニュアルに沿って作業療法士としての技能を身につける。
2~3年目 各チームの目標に従って人材育成を図る
脳外科チーム
各脳疾患の病態把握とリスク管理が行えるようになり、患者の状態に合わせて、問題点を抽出し、効果的なADL練習・上肢機能練習ができる。
整形・外傷チーム
特殊なリスクがない患者に対して、指導者の助言・指導がなくても患者の状態に合わせて作業療法が実施できる。
集中治療チーム
認知症・せん妄の評価を行うことができる。
認知症・せん妄の成り立ち・アプローチについて説明できる。

 

5. 1日のスケジュール

6. スタッフの声

■重症な患者さまの社会復帰を支援したい

3次救急医療を担う当院では、交通事故などの重症外傷の患者さまが救急搬送されてきます。様々な身体部位の損傷に対して集中治療をはじめ、一命を取り留めた後は日常生活や社会への復帰を目指していきます。その復帰に向けて、もっとも重要になるのが「リハビリテーション」です。 
当院では、このような重症患者さまに対しても急性期から作業療法を開始し、つづく回復期にバトンを受け渡すことが大切になります。数ヶ月後、当院の受診でリハビリテーション室に来室され、元気になっている姿や社会復帰されている姿を目の当たりにし、まだ見えぬ将来にむけて急性期から関わることの大切さを、あらためて感じるひとときになります。

有倉和宏

■急性期作業療法の経験を積み上げていきたい

学生時代より急性期病院に興味があり、実際の現場を間近で体験・見学をさせていただきました。福利厚生が充実していることや三次救急、特定感染症指定医療機関の感染症センター(日本で4ヶ所ある特定感染症医療機関の1つ)という特徴がある病院で勤務することで、様々な経験が得られると考え、りんくう総合医療センターへの就職を志望しました。
就職後、充実した一年間の新人教育を受けてきた現在(OT 2年目)、脳外科チームに配属して急性期脳血管障害に対する作業療法に向き合っています。脳卒中患者様だけでなく整形・外傷患者なども担当しますが、先輩の助言や院内勉強会で学んだことを実際に臨床現場で実践することが出来るので、知識と技術が向上したと自覚しています。これからは急性期の作業療法の重要性や楽しさを、自ら発信できるよう自己研鑽に励んでいきたいです。

児玉光基

■1年目でも働きやすい職場環境です

入職当初、初めての社会人で日々不安でしたが、温かく迎えてくれる先輩方が和ましてくれました。入職してすぐに担当患者さまを一人で担当するのではなく、先輩が一緒に担当してくれるため安心して作業療法を行うことが出来ています。新人であっても休暇は取りやすく、プライベートも充実しやすいので働きやすい職場環境です。現在は脳卒中の急性期作業療法に興味がありますが、様々な診療科があるため総合的な知識を身につけつつ、将来的には得意分野を発掘させていきたいです。
鹿嶋倫隠

■急性期作業療法の経験を積み上げていきたい

高度急性期病院である当院では、脳血管障害や交通事故、内部障害など様々な疾患の患者さまが入院されており、急性期治療だけでなくリハビリテーションにおいても急性期からの早期介入を行っています。急性期病院で働く毎日は、あらゆる知識や技術、リスク管理に加え、急性期作業療法の重要性など、多くの学びや経験を得ることができています。現在は高次脳機能チームに所属し、脳血管障害に対するセルフケアと高次脳機能障害の両面に着目しながら、より早期のADL向上を目指した介入に取り組んでいます。今後も急性期の作業療法を学びながら、患者さま一人ひとりの生活の再獲得を見据えた積極的なアプローチを提供できるよう励みたいです。
結城瑚波

■学会発表のサポートも充実しています

多くの診療科があり、幅広い分野のリハビリテーションを学ぶことができるため、当院への就職を希望しました。私は、他県から当院へ就職したため慣れない社会人生活に不安でしたが、熱心で優しい先輩方にサポートしていただけるため毎日充実して働くことができています。そして、学生時代から興味を持っていた学会での症例報告にもチャレンジすることができました。今後は、症例報告にとどまらず、自分の興味のある分野の臨床研究に取り組んでいきたいと考えています。
石東友夏

外来診療受付時間

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